「賠償責任保険」という名前を聞いても、自分の会社の何が対象になるのかは、すぐには結びつかないと思います。

ただ、損害賠償の請求は、悪いことをした会社にだけ来るものではありません。仕事をしていれば起こりうる事故について、法律が会社に責任を負わせる場面がいくつも決まっています。しかも、賠償金を払えば終わりとも限りません。

会社の賠償責任と、事故のあとに必要になる対応を、条文にもとづいて5つに分けて並べました。

1. 社員が起こした事故でも、請求は会社に来ます

民法第709条は、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負うと定めています。

これに加えて民法第715条(使用者等の責任)があります。ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うと定められています。つまり、実際に事故を起こしたのが従業員であっても、請求は会社に向かいます。

条文にはただし書きがあり、被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたときなどは責任を負わないとされています。ただし、それが認められるかどうかは個別の判断になります。

社用車の事故では、ここに自動車損害賠償保障法第3条(運行供用者責任)が重なります。自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命または身体を害したときに賠償の責めに任ずるとされ、これを免れるには、会社と運転者の双方が運行に関し注意を怠らなかったこと・被害者または運転者以外の第三者に故意もしくは過失があったこと・自動車に構造上の欠陥や機能の障害がなかったことを、すべて会社の側が証明する必要があります。

2. 建物や設備が原因で、人にケガをさせたとき

民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたとき、まずその工作物の占有者が賠償責任を負うと定めています。

占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければなりません。所有者の側には、注意をしていれば免れるという定めがありません。

店舗の看板、工場の設備、事務所の階段。お客様や取引先が出入りする場所を持っている会社は、ここに触れます。

3. 売ったもの・作ったものが原因で事故が起きたとき

製造物責任法(PL法)第3条は、製造業者等が引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体または財産を侵害したとき、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずると定めています。ただし、損害がその製造物についてのみ生じたときは、この条文の対象になりません(製品そのものの故障や交換は、別の話になります)。

ここでいう「製造業者等」は、作った会社だけではありません。同法第2条第3項では、製造・加工・輸入をした者に加えて、自ら製造業者として氏名や商標などを表示した者製造業者と誤認させるような表示をした者、実質的な製造業者と認めることができる表示をした者も含まれるとされています。

仕入れたものに自社の名前を付けて売っている会社、輸入して売っている会社も、この立場に入ることがあります。

4. 預かっている情報が漏れたとき

個人情報保護法第26条は、取り扱う個人データの漏えい等であって、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定める事態が生じたとき、委員会への報告本人への通知を義務づけています。どの事態が当たるのか、いつまでに何をするのかは、下のページで整理しています。

そして、事故の後始末は報告と通知だけでは終わりません。何が起きたのかを調べる、取引先に説明する、問い合わせを受ける。ここに人と費用がかかります。

5. 賠償金を払って終わり、とは限りません

事故のあとに会社から出ていくのは、相手に払う賠償金だけではありません。原因を調べる費用、取引先への対応、場合によっては裁判にかかる費用。そして仕事が止まれば、その間の売上も落ちます。

賠償の話と、事業を止めないための話は、切り離せません。

どこに責任が残るかは、会社ごとに違います

何を作り、誰に売り、どこで人や車が動いているか。持っている建物や設備、預かっている情報。ここが変われば答えも変わります。一般論では決まりません。

ご相談の進め方

次のような会社は、備えを確認しておきたいところです。

  • 店舗・工場・事務所など、お客様や取引先が出入りする場所がある
  • ものを作っている、仕入れて自社の名前で売っている、輸入している
  • 社用車や配送車を使っている
  • お客様や取引先の情報、預かり物を扱っている
  • 工事や作業で、他人の建物・設備に手を入れる仕事がある

ご相談は、今の契約がどこまでをカバーしているかの確認から始めます。そのうえで足りない部分を洗い出し、必要であればお見積りをお出しします。

ご用意いただくとスムーズなもの
  • 現在ご加入の保険証券(賠償責任保険・火災保険など)
  • 業種と、主な取引の形(元請け・下請け・直販・卸)
  • 従業員数と、社用車の台数
  • 店舗・工場・事務所の有無

お手元になければ、分かる範囲で構いません。

当社の取り扱い

※ここまでの説明は、法令にもとづいて事業者に生じうるリスクを整理したものです。以下の商品による補償の範囲を示すものではありません。

当社では、事業賠償・費用総合保険(ALL STARs)をお取り扱いしています。

何を作り、誰に売り、どこで人が動いているか。会社によって、備えるべきところは変わります。まずは今の契約がどこまでをカバーしているか、いっしょに一つずつ確認するところから。

💬 会社の賠償の備えを相談する(お問い合わせ)

商品の詳しい内容は、引受保険会社の公式ページをご覧ください。
事業賠償・費用総合保険(ALL STARs)|AIG損保
ご検討にあたっては、パンフレットおよび「重要事項説明書」を必ずご確認ください。

出典

※本ページは2026年9月時点の一般的な情報提供です。制度は変わることがあります。補償内容やご加入の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。個別の法律上の判断については専門家にご確認ください。