「自分に何かあったら、会社はどうなるのか。」一度は考えても、決算や資金繰りに追われて、そのままになっている社長は多いと思います。
経営者に万一のことがあったとき、会社とご家族に残るのは、気持ちの問題だけではありません。借入の保証、止められない支払い、退職金の決め方、自社株にかかる相続税。どれも期限や手続きが決まっています。
経営者の保障と退職金の準備で押さえておきたいことを、4つに分けて並べました。
1. 社長に万一があったとき、会社に最初に来るもの
中小企業の借入では、社長個人が連帯保証人になっていることがよくあります。民法第896条は、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています(被相続人の一身に専属したものは除かれます)。借入の保証も、原則として相続人に引き継がれます。
一方で、給与・仕入代金・家賃・借入の返済は、これまでどおりの日にやってきます。売上が細っても、支払いの日は動きません。
会社を契約者・受取人にした生命保険で用意できるのは、立て直しまでの時間です。いくら要るかは、止められない支払いの月額と、立て直しにかかる月数から考えます。
2. 役員退職金は、金額より先に決め方
会社法第361条は、取締役の報酬等について、定款に定めていないときは株主総会の決議によって定めるとしています。役員の退職慰労金もこの「報酬等」に含まれるというのが一般的な理解です。
税務の面では、法人税法第34条第2項により、役員給与のうち不相当に高額な部分は損金の額に算入されません。退職給与の場合は、在任期間や退職の事情、同業で規模が似た会社の支給状況などに照らして判断されます(法人税法施行令第70条)。なぜその金額なのかを説明できるかが問われる、ということです。
そしてお金は、支給する期にまとめて出ていきます。何年かけて、どう用意しておくかを先に決めておくと、その期の資金繰りに響きにくくなります。
3. 事業承継で詰まる2か所(自社株と納税資金)
自社株は、会社が順調なほど評価が上がります。ところが、売って現金にできる財産ではありません。
相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行います(相続税法第27条)。納付の期限も、申告と同じ日です(同法第33条)。
また、後継者に株を集めると、ほかの相続人が遺留分(法律で一定の相続人に残される最低限の取り分)を主張することがあります。民法第1046条は、このとき遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できると定めています。請求されるのは株ではなく、お金です。
株を受け取っても、納税や遺留分のための現金は、株からは出てきません。
4. 法人で入る保険は、経理の扱いも確かめる
法人が契約者となる保険期間3年以上の定期保険や第三分野保険(医療保険など)で、最高解約返戻率が50%を超えるものは、原則として保険料の一部をいったん資産に計上します(国税庁 法人税基本通達9-3-5の2。金額の小さい契約などには例外があります)。
費用になるかどうかではなく、いつ費用になるかの違いです。すでに入っている法人契約がどの扱いになるかは、証券と設計書で確かめられます。
借入と保証の残高、いまの現預金で何か月もつか、後継者がいるか、株を誰にどれだけ渡すか。ここが変われば答えも変わります。税務の判断は顧問税理士の領分です。私たちは、必要になる資金をどう用意しておくかを、一緒に数字にするところを受け持ちます。
ご相談の進め方
次のような会社・経営者の方は、一度確かめておきたいところです。
- 借入に社長の個人保証が付いている
- 役員の退任や交代を、数年のうちに考えている
- 後継者に自社株を渡すつもりだが、税金の話はまだしていない
- 法人で入っている保険の中身や、経理の扱いが分からなくなっている
ご相談は、いまのご契約と数字の確認から始めます。そのうえで足りない資金を洗い出し、必要であれば保険会社の資料をもとにご提案します。Web面談で最後まで進められます。対面をご希望の場合も承ります。
- 法人で加入中の保険証券(設計書があればあわせて)
- 借入の残高と、個人保証の有無が分かるもの
- 役員退職金規程(あれば)
- 顧問税理士による自社株評価の概算(あれば)
お手元になければ、分かる範囲で構いません。
当社の立場
当社は、保険会社のために保険契約の締結の代理・媒介を行う代理店です。取り扱っている保険会社と、商品をご提案するときの方針は、取扱保険会社と比較・推奨販売方針のページでご確認いただけます。
「退任はまだ先だが、そろそろ準備を始めておきたい。」その段階でのご相談で構いません。税務の判断は顧問税理士にお任せする前提で、必要になる資金といまの備えの差を、一緒に確かめるところから始めます。
出典
- e-Gov法令検索 民法(第896条・第1046条)
- e-Gov法令検索 会社法(第361条)
- e-Gov法令検索 法人税法(第34条)
- e-Gov法令検索 法人税法施行令(第70条)
- e-Gov法令検索 相続税法(第27条・第33条)
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 法人税基本通達 第3節 保険料等(9-3-5の2)
※本ページは2026年10月時点の一般的な情報提供です。制度は変わることがあります。税務・法律の個別の判断は、顧問税理士・弁護士等の専門家にご確認ください。補償内容やご加入の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。