持病があると保険に入れない? 諦める前に確かめたい「4つの入り口」

保険の基礎知識

「持病があるので、うちはもう保険は無理ですよね」。窓口でいちばんよく出てくる言葉かもしれません。ただ、公的な立場から情報をまとめている生命保険文化センターは、この話題を扱った3つのQ&Aすべてに、同じ一文を置いています。「まずは通常の生命保険を契約できるかどうか確認することが大切です」。入れるか入れないかの二択ではなく、その間に段階がある、ということです。

「入れません」に行き着くまでには、段階がある

保険に申し込むとき、健康状態や過去の病気、職業などを保険会社に伝えます。これが告知です。保険法では、告知は「保険会社が告知を求めた事項」に答える形と決められています(37条・66条)。思い出せるかぎりの病歴を自分から並べるのではなく、聞かれたことに正確に答えるのが告知だ、ということです(→告知義務ってなに?)。

その結果、健康に問題があると引き受けてもらえないことはあります。でも生命保険文化センターは、そこに続けてこう書いています。症状が治療を受けるほどでもない人や、病気が完治して一定の年数が経過した人などは、無条件で契約できる場合がある、と。「持病がある」と「入れない」の間には、まだ距離があります。

保険の「入り口」は4つある

健康状態に不安があるときの選択肢は、ざっくり4段階に並びます。右へ行くほど入りやすくなる代わりに、保険料は割高になり、保障の制限も増えます

保険の「入り口」は4段階 ◀ 保険料はおさえめ/保障の制限は少ない 保険料は割高/保障の制限が増える ▶ 通常の保険 無条件 通常の保険 特別条件つき 引受基準緩和型 限定告知型 無選択型 告知・診査なし

順番は左からです。いきなり④や③を検討して契約すると、本当は①や②で入れたかもしれない保障を、割高な保険料で買うことになります。

いちばん知られていないのが②「特別条件つき」

断られるか、専用の商品にするか。その中間に、条件を付けたうえで通常の保険を引き受けるという道があります。生命保険文化センターは3つの方法を挙げています。

1. 割増保険料

通常より高い保険料を払うことで、通常の保険に入る方法です。保障の中身はそのままなので、シンプルで分かりやすい条件といえます。

2. 保険金の削減

契約から一定の期間内に亡くなったとき、経過年数に応じて死亡保険金を減らして支払う、という条件です。この期間は5年を超えることはありません。削減期間が過ぎてからの死亡には、保険金の全額が支払われます。さらに、不慮の事故などによる死亡・高度障害の場合は、削減期間中であっても全額です。「一生ずっと減らされる」わけではない、というのは知っておいていい点だと思います。

3. 特定部位不担保

体の一部分を、特約の対象から外す方法です。生命保険文化センターが挙げている例は、3年前に胃かいようで入院したものの現在は完治している人。特約は付けられるけれど、「胃」の病気で入院した場合は、契約時から一定期間内は入院給付金や手術給付金を支払わない、という形になります。心配な部位だけを切り分けて、残りは通常どおり保障するという考え方です。

③引受基準緩和型と④無選択型は、どこが違う?

引受基準緩和型(限定告知型)は、告知項目が3〜5項目程度に絞られた保険です。項目は保険会社ごとに違いますが、1つも当てはまらなければ原則として契約できます。生命保険文化センターが挙げている例はこの3つです。

  • 最近3カ月以内に、医師から入院・手術をすすめられたことがある
  • 過去2年以内に、入院・手術をしたことがある
  • 過去5年以内に、がん・上皮内がん、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症で、医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがある

一方の無選択型は、告知も医師の診査も要りません。終身保険や個人年金保険などで取扱いがあります。ただし、入りやすさの分だけ制限も大きくなります。終身保険を例にとると、こう違います。

④無選択型③引受基準緩和型・限定告知型
告知・診査不要簡単な告知(3〜5項目程度)
契約できる年齢40歳〜80歳程度20歳〜85歳程度
死亡保険金額の上限500万円程度1,500万円程度
病気で亡くなったとき契約後2年・3年以内は、払い込んだ保険料の累計額相当を受け取るのが一般的契約後1年以内は死亡保険金額が50%に削減されるのが一般的(削減されないものもある)
事故で亡くなったとき契約当初から全額全額のものと、1年以内は50%に削減されるものがある
医療関係の特約付加できない引受基準緩和型の医療特約を付加できる場合がある

※終身保険の例(保険料の払込方法が月払・半年払・年払の場合)。生命保険文化センターの資料をもとに作成。

無選択型で気をつけたいこと
  • 保険料が「終身払」の場合、払い込んだ保険料の総額が死亡保険金を上回ることがある
  • 無選択型の個人年金保険には、所定の高度障害状態などで以後の保険料払込みが免除される取扱いがない

医療保険の緩和型には、見落とされがちな利点がある

持病があると「今かかっている病気は、どうせ対象外なのでは」と思いがちです。ところが引受基準緩和型の医療保険は、そこが違います。

緩和型の医療保険で対象になるもの
  • 契約前からかかっていた病気の悪化
  • 治療歴のある病気の再発・悪化

生命保険文化センターが挙げている例は、契約前から糖尿病でインスリン治療を受けていた人が、契約後に糖尿病が悪化して糖尿病性網膜症で入院・手術をしたケースです。これは支払いの対象になります。

もっとも、制約もあります。契約前に医師から勧められている入院・手術は対象外です。また、契約後1年間は給付金額が半額になるなど、保障内容に制約があるものもあります。そして通常の医療保険に比べて保険料は割高です。

なお、告知項目が少ないからといって、当てはまるのに「いいえ」と答えるのは避けてください。故意または重大な過失で告知義務に違反すると保険会社は契約を解除でき、それまでに起きた支払事由についても保険金を支払う必要がないと保険法は定めています(55条・84条)。払った保険料が保障につながらなくなってしまいます。

相談の前に、手元にそろえておくといいもの

  • 直近の健康診断の結果
  • 通院・服薬の内容(いつから、どの病気で、どんな薬か)
  • 過去の入院・手術の時期と病名
  • いま入っている保険の証券

この4つがそろっていると、①の無条件で行けそうなのか、②の条件つきになりそうなのか、③まで視野に入れるのか、見当がかなりつきます。同じ病歴でも保険会社によって判断が分かれることは珍しくないので、そこを一社ずつ当たっていくのが実務です。

まとめ
  • 「入れる/入れない」の二択ではなく、無条件 → 特別条件つき → 引受基準緩和型 → 無選択型という段階がある
  • いちばん知られていないのが特別条件つき。割増保険料・保険金の削減・特定部位不担保の3つ
  • 保険金の削減期間は5年を超えない。不慮の事故による死亡・高度障害なら削減期間中でも全額
  • 緩和型の医療保険は、持病の悪化や再発も対象になる。ただし契約前に勧められている入院・手術は対象外
  • 右へ行くほど保険料は割高。だから順番は左から

出典

※本記事は2026年8月時点の一般的な情報提供です。表の年齢・保険金額の上限・削減期間などは一般的な例で、告知項目や引受の判断も含めて保険会社・商品によって異なります。補償内容やご加入の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。

持病がある方の保険は、「どこなら通るか」を当たってみないと分からないところがあります。同じ病歴でも、ある会社では無条件、別の会社では条件つき、ということが実際に起こります。健康診断の結果や通院のメモをお持ちいただければ、どの入り口から確かめるのが早いか、一緒に整理します。売り込みより先に、いまの保険を一つずつ一緒に見るところから。

💬 いまの健康状態で入れる保険を相談する(お問い合わせ)