無事故なのに自動車保険料が上がった? 車検証の「型式」で決まる料率クラスのしくみ
「今年は無事故だったのに、更新の案内を見たら保険料が上がっていた」。自動車保険でときどき起きることです。等級は1つ上がったはずなのに、なぜ。
理由のひとつが、車検証に書かれている「型式」ごとに決まる料率クラスというしくみです。自分の運転とは別のところで動く数字で、しかも車を買う前に自分で調べられます。
保険料は「等級」だけで決まっていない
自動車保険の保険料は、いくつもの区分を掛け合わせて決まります。よく知られているのは等級(過去の事故歴に応じた割引・割増の段階)ですが、それと並んで効いているのが、車そのものの区分です。
損害保険料率算出機構(各社が保険料を計算する土台にする「参考純率」を算出している団体)は、車検証に記載された型式ごとに、事故の実績をもとにしたクラスを設定しています。これが型式別料率クラスです。対象は自家用普通乗用車・自家用小型乗用車・自家用軽四輪乗用車の3つ。
クラスは対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険の4つに分けて、それぞれ別々に決まります。同じ車でも「対人は低いクラスなのに、車両は高い」ということが起こります。数字が大きいほど保険料は高くなります。
- 自家用乗用車(普通・小型)は1〜17クラス。隣り合うクラスの保険料率の差は約1.1倍ですが、いちばん安いクラス1といちばん高いクラス17では約4.3倍の開きがあります。
- 自家用軽四輪乗用車は1〜7クラス。クラス1とクラス7で約1.7倍です。
2025年1月1日以降に始まる契約の場合(損害保険料率算出機構)
軽自動車は、車種による差が広がった
軽四輪乗用車にも以前からクラスはありました。ただし区分は1〜3の3クラスで、いちばん安いクラスと高いクラスの差は1.2倍。2025年1月1日以降に始まる契約からは1〜7の7クラスになり、差は約1.7倍に広がっています。軽だから車種で大きくは変わらない、とは言いにくくなりました。
無事故でも動くのは、「型式ごと」に見ているから
クラスは毎年1月に見直されます。その型式の直近の保険データと、いま当てているクラスが見合っているかを確かめるしくみです。
- リスクが低ければ、1つか2つ下のクラスへ。発売から約3年たってデータがたまった型式は、度合いによって3つ4つと大きく下がることもあります。
- リスクが高ければ、1つか2つ上のクラスへ。
- 見合っていれば、動きません。
- 新しく発売された型式は保険データがないため、乗用車は排気量・新車価格・発売年月などから決め、軽四輪は一律クラス4からスタートします。
大事なのは、見ているのが「あなた」ではなく「その型式全体」だという点です。損害保険料率算出機構も、自分が事故を起こしていなくても同じ型式の車全体のリスクが高ければクラスは上がり、逆に自分が事故を起こしていても型式全体のリスクが低ければ下がることがある、と説明しています。等級は自分の事故歴、料率クラスは車の型式の実績。別々に動きます。
「クラスが高い車=危ない車」ではありません。クラスは保険データにもとづく実態から決まっていて、そこには車の性能だけでなく、その車に乗っている人の層といった要素も含まれます。安全性能が同じくらいの車でも、ユーザー層の違いでクラスが変わることがあります。
| 自家用乗用車(普通・小型) | 自家用軽四輪乗用車 | |
|---|---|---|
| クラスの数 | 1〜17 | 1〜7 |
| 隣り合うクラスの差 | 約1.1倍 | 約1.1倍 |
| 最も安い/高いクラスの差 | 約4.3倍 | 約1.7倍 |
| 新発売の型式 | 排気量・新車価格・発売年月などから決定 | 一律クラス4 |
買い替える前に、クラスは自分で調べられる
損害保険料率算出機構のサイトには「型式別料率クラス検索」があります。メーカーと車名、または型式を入れると、対人・対物・人身傷害・車両それぞれのクラスが表示されます。誰でも無料で使えます。型式は車検証の「型式」欄にある、DBA-ABC123 のような表記です。
使う前に、知っておきたいことが3つあります。
- 出てくるのは参考純率上のクラスです。各保険会社はそれをそのまま使うことも、自社の商品設計に合わせて修正して使うこともできるため、実際に適用されるクラスと異なる場合があります。保険料そのものは見積りで確認してください。
- 掲載は毎年11月ごろ。翌年1月1日から12月31日までの契約を想定したクラスが載ります。新しく発売された型式は、発売日の翌月初めに追加されます。
- 検索できない車もあります。自家用の普通・小型・軽四輪乗用車以外、改造車、型式不明車、並行輸入車、それに未発売や発売して間もない型式です。
候補が2台に絞れているなら、見比べてみる価値はあります。車両保険を付けるつもりなら、車両保険のクラスをとくに。
※型式別料率クラスを補うしくみとして、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の装着の有無や、初度登録からの経過期間も保険料の区分になっています。AEB装着による割引は、まだ保険データがたまっていない「発売後約3年まで」の型式が対象です。
- 保険料は等級だけでなく、車検証の型式ごとのクラスでも決まる。対人・対物・人身傷害・車両で別々。
- クラスは毎年1月に見直され、自分の事故歴とは関係なく動くことがある。
- クラスが高いからといって、危ない車という意味ではない。
- 買い替え前なら、損害保険料率算出機構のサイトで無料で調べられる。
出典
- 損害保険料率算出機構「(参考)型式別料率クラスの仕組み ~2025年1月1日以降~」
- 損害保険料率算出機構「型式別料率クラス検索」
- 損害保険料率算出機構「(参考)型式別料率クラスの仕組み ~2022年1月1日以降~」(PDF・軽四輪が3クラスだった時期の資料)
- 日本損害保険協会 損害保険Q&A くるまの保険 問21「自動車保険の『型式別料率クラス』について教えてください。」
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報提供です。実際に適用される料率クラスや保険料は保険会社によって異なります。補償内容やご加入の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。
「更新の案内を見たけれど、上がった理由が分からない」「次に買う車で保険料はどれくらい変わるんだろう」。どちらもよくいただくご相談です。お手元の証券と車検証を一緒に開いて、いまの契約を一つずつ確認するところから始めます。売り込みは、そのあとの話です。