「保険で直せます」と訪問されたら|住宅修理のトラブルは、連絡する順番で防げる

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「屋根が浮いていますよ」。突然の訪問で、そう言われたことはありませんか。続けて「火災保険を使えば、自己負担なく直せます」。台風や大雨のあとは、こういう電話や訪問が増えます。

やっかいなのは、全部が怪しいとは限らないところです。本当に屋根が傷んでいることもあります。分かれ目になるのは、最初にどこへ連絡するか。順番さえ間違えなければ、たいていのトラブルは避けられます。

相談は、減っていません

「点検に来ました」と言って訪ねてきて、「このままだと危ない」と工事を契約させる。こうした手口は「点検商法」と呼ばれます。全国の消費生活センターに寄せられた相談件数は、次のように推移しています。

年度訪問販売によるリフォーム工事点検商法
2023年度11,879件12,550件
2024年度9,839件19,249件
2025年度5,544件19,696件

国民生活センターに登録された相談件数(2026年5月31日現在)。「リフォーム工事」は屋根・壁・増改築・塗装・内装の各工事の合計です。

リフォーム工事の訪問販売そのものの相談は減っている一方、点検商法は2023年度の1.5倍を超える水準が続いています。国民生活センターが2026年3月に公表した資料でも、台風の被害にあった人から「『補償対象地域になった』と電話がかかってきて、来訪した事業者と保険の申請代行を契約したが不審だ」という相談が紹介されています。

そもそも「保険で直せる」とは限らない

台風や大雪、ひょうなど自然災害による住まいの損害は、多くの場合、火災保険や地震保険で補償されます。ここは業者の言うとおりです。

ただし火災保険では、時間の経過による傷み、いわゆる経年劣化は補償の対象外です。日本損害保険協会も、自然に消耗した部分やさびによって生じた損害は支払いの対象にならない、とはっきり案内しています。長年の雨風で傷んだ屋根を「先週の台風でやられましたね」と言われても、保険金が出るとは限らないわけです。

そして、保険金が出るかどうかを判断するのは、訪ねてきた業者ではなく保険会社です。受け取れる金額の決まり方には、「時価」と「新価」という別の論点もあります。

先に業者と契約すると、あとが大変

日本損害保険協会は、保険会社や代理店に連絡する前に業者と契約してしまうと、こんなことが起こりうると注意を呼びかけています。

  • 結局は保険金が支払われず、修理代金を自己負担することになる
  • やめようとすると、高額な解約手数料を求められる
  • 契約書を業者が持ち帰ってしまい、手元に何も残らない

協会が紹介している相談事例には、「完全成功報酬型で、保険金が出たときだけ保険金の30%をいただきます」と説明されて契約し、下りた100万円のうち30万円が報酬として引かれ、残りでは修理できなかった、というものがあります(2020年受付)。工事をやめるなら保険金の4割を払え、と言われて困っている、という相談も紹介されています(2018年受付)。

うその理由で請求すると、困るのは契約者本人

もうひとつ、見落としがちな点があります。保険金を請求する人は、業者ではなく契約者本人だということです。

「経年劣化ですが、台風の被害ということにしておけば通りますよ」。そう持ちかけられて事実と違う内容で請求すれば、書類に名前が載っているのは自分です。保険金が支払われないだけでなく、詐欺として責任を問われることもあります。知らないうちに加担してしまう形が、いちばん怖いところです。

順番は、これだけ覚えておけば大丈夫

やることは複雑ではありません。業者と契約する前に、加入している保険会社か代理店に連絡する。日本損害保険協会が呼びかけているのも、つまるところこの一点です。

連絡する順番の比較 こうなりがち この順番で 業者が訪問「保険で直せます」その場で契約書にサイン業者が保険金の請求を進める保険金が出ない・解約料を請求 被害に気づく・写真を撮る保険会社か代理店に連絡案内にそって請求手続き修理業者は自分で選ぶ

被害を見つけたら、まず写真を撮っておくと手続きがスムーズです。そのうえで保険会社か代理店へ。請求の流れそのものは、災害にあったときの保険金請求の流れにまとめています。

その場で決めない

訪問を受けたときは、その場で契約書に署名や押印をしないことです。「今日だけ割引」「明日には雨漏りします」と急がされたら、なおさら一度断って構いません。見積もりを何社かで比べる時間は、必ず取れます。

もう契約してしまったときは

署名してしまっても、まだ手はあります。訪問販売で結んだ契約は、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面でクーリング・オフができます。理由は要りません。

しかも消費者庁の案内によれば、業者がクーリング・オフについて事実と違うことを告げたり、威迫したりして手続きを妨げた場合は、8日を過ぎていても認められます。「もう解約できませんよ」と言われたら、それ自体を疑ってよい場面です。

相談できる窓口
  • 加入している保険会社・代理店/保険金が出るかどうかは、ここが起点です
  • 消費者ホットライン 188/お近くの消費生活センターにつながります
  • 保険金に関する災害便乗商法 相談ダイヤル 0120-309-444(日本損害保険協会・平日9〜12時/13〜17時)。申請サポート業者との契約を解除したい、といった相談を受け付けています
まとめ
  • 経年劣化は火災保険の対象外。「保険で直せる」とは限らない
  • 業者と先に契約すると、自己負担や高額な解約料につながることがある
  • 請求するのは契約者本人。うその理由での請求は自分に返ってくる
  • 覚えるのは順番だけ。契約の前に、保険会社か代理店へ
  • 署名してしまっても、書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフできる

出典

※本記事は2026年8月時点の一般的な情報提供です。補償内容やご加入の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。保険金が支払われるかどうかは、契約内容と被害の状況によって個別に判断されます。

「これ、うちの保険で直せますか?」。その一言を、契約している代理店に聞いてもらえれば十分です。写真を見せていただければ、対象になりそうかどうか、次に何をすればいいかをその場でお伝えします。訪問を受けて迷っている段階でも構いません。売り込みより先に、いま入っている保険で何ができるかを一つずつ一緒に確認するところから。

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