親の生命保険、どこの会社か分からない|家族がまとめて調べられる「契約照会制度」
「父さんの保険、どこの会社だった?」。葬儀が一段落したころ、きょうだいで顔を見合わせる。証券が見つからない。通帳をさかのぼっても、それらしい引き落としが見当たらない。
心当たりが尽きたときのために、生命保険協会が加盟する生命保険会社へまとめて照会できるしくみを用意しています。「生命保険契約照会制度」といって、亡くなったときだけでなく、認知症などで判断能力が落ちたときにも使えます。
まずは、家の中の三か所
協会は、制度を使う前に次の三つを確認するようすすめています。ここで見つかれば、費用も書類もいりません。
- 生命保険証券を探す
- 保険会社から届いた通知物を探す(契約内容のお知らせ、秋に届く生命保険料控除証明書など)
- 預金通帳で、保険料の口座振替の履歴を確認する
それでも手がかりが出てこない。そのときの次の一手が、この制度です。
協会が、各社にまとめて聞いてくれる
生命保険契約照会制度は、協会が会員である生命保険会社へ一括で調査を依頼し、結果をとりまとめて回答してくれるしくみです。もともとは東日本大震災のあとに使われていた災害時向けの照会制度でした。独居のまま亡くなる方や認知症の方が増えている状況を受けて、2021年7月から平時でも使える形に一本化されています。
使えるのは、次の二つの場面です。申請できる人と、追加で必要になる書類が、場面によって変わります。
| 亡くなった場合 | 認知判断能力が低下した場合 | |
|---|---|---|
| 申請できる人 | 法定相続人/その法定代理人・任意代理人(弁護士・司法書士・行政書士)/遺言執行者 | 3親等以内の親族/成年後見人・任意後見人/任意代理人(弁護士・司法書士・行政書士) |
| 追加で要る書類 | 死亡が確認できる書類(死亡診断書など) | 協会所定の様式による医師の診断書 |
| 調べる範囲 | 死亡日まで最低3年さかのぼる | 照会を受け付けた日に有効な契約 |
ここで少し先の話をしておくと、本人が元気なうちに指定代理請求人を決めておけば、判断能力が落ちたあとに家族が請求で困る場面はぐっと減ります。照会制度は、その備えがなかったときの受け皿です。
費用と、返事が届くまで
- 利用料:調べる方1名につき、WEB申請6,000円/書面申請7,000円
- 支払い方法:書面申請はコンビニ払い。WEB申請ならクレジットカードも使えます
- 回答まで:利用料の支払いから14営業日(3週間程度)。回答書は簡易書留で届きます
回答書に書かれているのは、契約があるかないかだけです。契約があった保険会社の欄に「○」が付く形で、保険金額や契約の中身までは分かりません。存在が確認できたら、その保険会社へ自分で連絡し、「生命保険契約照会制度を利用した」と伝えて手続きを進めます。
申請の前に知っておきたいこと
- 対象外ありすでに保険金が支払われた契約、解約済み・失効した契約は含まれません。財形保険・財形年金保険、支払いが始まった年金保険、保険金等が据え置きになっている保険も対象外です
- 書類は戻らない戸籍などの公的書類はコピーで提出し、返却されません。手元にも控えを残しておきましょう
- 費用は自己負担申請できる立場に当たらないと分かった場合でも、戸籍や診断書を取るのにかかった費用は自分持ちです
- 代表者は1名1回の照会で最大9名まで一緒に申請できますが、回答は代表者1名にまとめて届きます。他の方の結果も代表者に分かる点は、あらかじめ共有しておきたいところです
災害で被災したときは、無料で使える
災害救助法が適用された地域で被災して亡くなった、または行方不明になった。しかも家屋の流失や焼失で、請求の手がかりを失ってしまった。この条件に当てはまるときは、利用料は無料です。
- 申請は電話で(生命保険相談所 災害時受付専用 0120-001-731/月〜金曜 9時〜17時・祝日と年末年始を除く)
- 申請できるのは、配偶者・親・子・兄弟姉妹、またはその代理人
- 原則14営業日以内に、郵送で回答が届きます
生命保険協会は2026年7月29日、この制度のWEB申請システムについて、利用された方の一部情報が外部から特定の操作で閲覧できる状態になっていたことを公表しました(第一報)。対象となる可能性がある情報はアカウントを作成した方の氏名・住所・電話番号・メールアドレスで、利用者ベースで約37,000件にのぼる可能性があるとしています。生命保険契約の内容(保険会社名・契約内容・保険金額など)や口座情報は含まれていない、とのことです。
安全性の確認が終わるまでWEB申請は停止しており、書面申請は引き続き利用できます。申請を考えている方は、協会のサイトで最新の受付状況をご確認ください。過去に利用したことがある方は、協会や保険会社をかたる不審な電話・メールに、念のため気をつけておくと安心です。
なお、保険金や給付金の請求には3年の時効があります。「たしか何か入っていたはず」という記憶があるなら、思い出したときに動いておくほうが安全です。
- まずは証券・通知物・通帳の三か所。見つかれば、それで終わり
- 見つからないときは、生命保険協会が各社へまとめて照会してくれる
- 使える場面は「亡くなったとき」と「認知判断能力が低下したとき」の二つ
- 分かるのは契約の有無だけ。中身の確認と請求は、自分で保険会社へ
- 利用料はWEB6,000円・書面7,000円、回答まで3週間程度。災害時は無料
出典
- 生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」
- 生命保険協会「生命保険契約照会制度 ご利用の手引き(書面手続用)」(2026年6月1日)
- 生命保険協会「生命保険契約照会制度(災害時利用)のご案内」
- 生命保険協会「生命保険契約照会制度の創設(2021年7月1日開始)」(2021年6月11日)
- 生命保険協会「生命保険契約照会システムにおける情報漏えい等に関するお知らせとお詫びについて(第一報)」(2026年7月29日・PDF)
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報提供です。制度の内容・利用料・受付状況は変わることがありますので、申請の前に生命保険協会のサイトで最新の情報をご確認ください。ご加入の保険の内容やご請求の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。
「親がどこの保険に入っていたか分からなくて」。ご相談のなかでも、よく出てくる困りごとです。まずは届いている通知物や通帳を一緒に見てみるところから。制度を使うほどでもなかった、で終わることも少なくありません。どこから手を付けるかだけでも、遠慮なく聞いてください。