入院給付金の「日額」と「一時金」、どう違う? 平均16日という入院の長さから考える
「日額」は日数×単価、「一時金」は日数に関係なく定額
入院したときに受け取れるお金(入院給付金)には、大きく2つの決まり方があります。日数をかけ算する日額タイプと、入院1回ごとに定額を受け取る一時金タイプです。
| 日額タイプ | 一時金タイプ | |
|---|---|---|
| 金額の決まり方 | 日額 × 入院日数 | 入院1回につき定額 |
| 3日入院したら | 5,000円 × 3日=15,000円 | 10万円 |
| 30日入院したら | 5,000円 × 30日=150,000円 | 10万円 |
| 得意なこと | 入院が長引くほど積み上がる | 短い入院でもまとまった額が出る |
図にすると、入院の長さで有利・不利が入れ替わるのが分かります。
どちらも「給付金」なので、受け取っても契約はそのまま続きます(「保険金」と「給付金」、何が違う?)。また、日額と一時金を組み合わせた設計もあり、二者択一とは限りません。
いまの入院は、思ったより短い
生命保険文化センターの2025(令和7)年度「生活保障に関する調査」(速報版)によると、過去5年間に入院した人の直近の入院日数は平均16.0日でした。分布はこうなっています。
厚生労働省の令和5年(2023)患者調査でも、退院患者の平均在院日数は28.4日。昭和59年の40.9日、平成8年の40.8日と比べると、長い目で見て短くなってきました。
2つの調査で数字が違うのは、見ている対象が違うからです。患者調査は9月に退院した患者すべてが対象で、「精神及び行動の障害」(平均290.4日)のような長期の入院も含まれます。年齢による差も大きく、0〜14歳は7.6日、35〜64歳は20.2日、65歳以上は35.5日。がん(悪性新生物)は14.4日でした。
それでも、日数で増えていく負担はある
短い入院が多いなら一時金だけでよさそうにも見えます。ただ、入院中の出費は日数に比例して増えていきます。同じ調査では、直近の入院にかかった自己負担費用は平均18.7万円、1日あたりに直すと平均24,300円でした。この金額には治療費のほか、食事代、差額ベッド代、見舞いに来る家族の交通費、衣類や日用品なども含まれています。
差額ベッド代や入院中の食事代は、公的な高額療養費の対象外です(窓口で立て替えずに済む「限度額適用認定証」)。入院が長引くほど、こうした公的保険がきかない出費が積み上がっていきます。
- 入院が2週間、1か月と長引いたとき
- 差額ベッド代など、日数で増える出費が多いとき
- 入院が長くなりやすい年代・病気のとき
- 数日で退院したとき(日額だと受取額が小さくなる)
- 検査入院や、短い入院での手術
- 入院前後の通院・準備の出費もまとめてまかないたいとき
タイプを決める前に、見ておきたい3つ
同じ「日額5,000円」でも、受け取れる総額は次の3つで大きく変わります。
- 1入院の支払限度日数:1回の入院で何日分まで受け取れるか。60日、120日などのタイプがあります。
- 180日ルール:前回の退院日の翌日から180日以内に再入院した場合、前の入院と合わせて「1回の入院」として数えるのが一般的です。180日を過ぎてからの再入院は別の入院として扱われ、限度日数は改めて数えます。
- 一時金の支払回数:通算で何回まで受け取れるか。50回、100回など、保険会社や商品によって異なります。
とくに180日ルールは、同じ病気で入退院をくり返すときに効いてきます。「もう一度入院したら、また60日分もらえる」とは限らない、ということです。
- 日額タイプは入院日数に比例、一時金タイプは日数に関係なく定額
- 直近の入院日数は平均16.0日。14日以内が74.5%を占める
- ただし1日あたりの自己負担は平均24,300円。長引くほど日数で効く費用も増える
- 決める前に「1入院の限度日数」「180日ルール」「一時金の支払回数」を確認する
出典
- 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査《速報版》」(PDF)
- 生命保険文化センター「もし病気が再発してまた入院したら、入院給付金は受け取れるの?」
- 厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」
「日額と一時金、自分にはどちらが合うのか」は、いまの貯蓄、勤め先の休業補償、すでに入っている保険の中身によって変わります。私たちは、新しい保険をすすめる前に、いまお持ちの証券を一つずつ一緒に読むところから始めています。入院の備えが足りているのか、重なっていないか、確認だけでもどうぞ。