控除証明書が見つからない、と年末に気づいたら|提出は翌年1月末まで待ってもらえます
10月ごろ、保険会社から薄いハガキが届きます。控除証明書です。大事そうだから取っておいたはずなのに、年末調整の紙を書く段になって見当たらない。この時期、いちばんよく聞く困りごとです。ただ、なくしたらその年の控除は諦め、という話ではありません。取り戻す道は何本かあって、そのうちのひとつは国税庁の手引きに「待ってもらえる」とはっきり書かれています。
10月ごろに届くのには、理由があります
控除証明書は、生命保険料控除や地震保険料控除を受けるための証拠書類です。保険料をいくら払ったかを保険会社が証明した紙で、これを「給与所得者の保険料控除申告書」に添えて勤務先に出すと、年末調整で税金が安くなります。会社員の方なら、この紙を出すか出さないかで、その年の手取りが変わることになります。
では、なぜ秋なのか。国税庁の「年末調整のしかた」には、月払いの契約の証明書について、その年に支払った生命保険料の金額に代えて、毎月の払込保険料の金額と、その年の1月から9月までの払込みの状況がわかる事項が書かれていればよい、とあります。つまり9月分まで払込みが確認できた時点で発行してよい決まりで、だから各社いっせいに10月ごろから送り始めるわけです。10月以降に契約した分は、そのあと届きます。
金額が2つ書いてあるのは、そのためです
ハガキをよく見ると、金額が2つ並んでいることがあります。9月までに実際に払った分を証明した額と、12月まで払い続けた場合の見込み額です。申告書に書くのは、後者、つまりその年の12月末までに払う金額のほうです。年の途中で解約したり保険料を下げたりしたときは、実際に払った額になりますので、そこだけ気をつけてください。
見つからないときの、3つの道
ひとつめは、素直に再発行を頼むことです。生命保険文化センターも、証明書を紛失した場合は生命保険会社に連絡して再発行を受けることができる、と案内しています。各社のウェブサイトやコールセンターで受け付けていて、当年分だけでなく過去の分に対応している会社もあります。受付期間や手続きの方法は会社ごとに違うので、そこは契約先に確かめることになります。
ふたつめは、紙ではなく電子データで受け取る道です。2019年(平成31年)1月から、保険会社が書面で交付していた控除証明書を電子データで交付できるようになりました。さらに2020年(令和2年)10月からは「マイナポータル連携」が始まり、複数社の証明書をまとめて取得できます。国税庁の集計では、2025年(令和7年)10月時点で電子控除証明書に対応済みの生命保険会社は36社(国内の生命保険会社41社中)、損害保険会社は14社(地震保険の扱いがある国内の損害保険会社19社中)。生命保険料控除の対象契約でみた対応割合は、契約件数ベースで約98.5%です。つまり、いまの契約はほぼ電子でも受け取れる状態にあります。
みっつめは、その電子データを紙に出す道です。勤務先が電子提出に対応していないときは、国税庁の「QRコード付証明書等作成システム」でデータを二次元コード付きの書面に変換して印刷し、それを提出します。この書面は「電磁的記録印刷書面」と呼ばれ、紙の証明書と同じように扱われます。
保険会社から受け取る電子データ(XMLファイル)は、そのまま開いて印刷しても証明書としては使えません。生命保険文化センターも、データをそのまま送信して使う場合と、QRコード付証明書等作成システムでPDFに変換して印刷する場合の2通りに分けて説明しています。紙で出したいなら、必ず変換のひと手間が要ります。なお、このシステムはスマートフォンが推奨環境外とされています。パソコンで作業してください。
そして、この3つのどれも年末に間に合わなかった場合です。国税庁の「年末調整のしかた」には、証明書類の交付を請求中などのために証明書類が確認できない場合でも、翌年1月末日までに提出または提示することを条件として、生命保険料の控除をしたところで年末調整を行ってよい、と書かれています。地震保険料控除についても同じ扱いが示されています。年末に間に合わなくても、その年の控除が消えるわけではないということです。もっとも、これは勤務先の担当者が事務を進められるようにするための決まりですから、黙って出し忘れていい話ではありません。間に合いそうにないと分かった時点で、担当の方に一言伝えておくのが筋だと思います。
出さなくていい紙と、必ず出す紙
意外に知られていないのですが、生命保険料控除には、証明書を添えなくてよい場合があります。国税庁の手続案内によれば、添付が必要なのは支払金額を証する書類ですが、旧生命保険料、つまり2011年(平成23年)12月31日以前に結んだ契約の分については、支払金額から剰余金や割戻金を差し引いた残額が9,000円を超える場合とされています。古い契約で、年に9,000円以下のものなら、証明書がなくても申告できるわけです。確定申告のときも同じ扱いです。
一方で、地震保険料控除のほうにはこの例外がありません。国税庁の手引きは、保険料の金額の多少に関係なく証明書類の添付または提示が必要だ、としています。火災保険に地震保険を付けている方は、金額が小さくても証明書を探してください。
もうひとつ、勤務先を対象とする団体特約にもとづいて払った保険料などは、支払った金額や契約者の氏名に誤りがないことを勤務先で確認すれば、証明書類を出さなくてよいことになっています。給与から天引きになっている保険が該当することがあるので、心当たりのある方は総務や人事に聞いてみてください。
- 控除証明書が10月ごろ届くのは、1月から9月までの払込状況が分かれば発行してよいとされているため
- 金額が2つあるときは、12月末までに払う見込みのほうを申告書に書く
- なくしたら、①再発行を頼む ②電子データで受け取る ③QRコード付の書面に変換して印刷する、の3つ
- 電子データ(XML)をそのまま印刷しても使えない。紙にするなら国税庁のシステムで変換する(パソコンで)
- 年末に間に合わなくても、翌年1月末日までに出すことを条件に控除したまま年末調整してよい、とされている
- 旧契約で年9,000円以下の生命保険料は添付不要。地震保険料控除は金額の多少に関係なく必要
出典
- 国税庁「令和7年分 年末調整のしかた」(保険料控除申告書の受理と内容の確認・PDF)(月払契約の証明書類には毎月の払込保険料の金額と本年1月から9月までの払込みの状況がわかる事項が記載されていればよいこと、証明書類の交付を請求中などで確認できない場合でも翌年1月末日までに提出または提示することを条件として控除したところで年末調整を行ってよいこと、勤務先を対象とする団体特約に基づく保険料等は勤務先で確認すれば提出・提示を要しないこと、地震保険料控除は保険料の金額の多少に関係なく証明書類が必要であること、電磁的記録印刷書面の定義)
- 国税庁「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」(添付書類=支払金額を証する書類。旧生命保険料は支払金額から剰余金や割戻金の額を差し引いた残額が9,000円を超える場合)
- 国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」(証明書類または電磁的記録印刷書面の添付・提示。平成23年12月31日以前に締結した旧契約等で年間保険料が9,000円以下のものと年末調整で控除を受けたものは不要)
- 国税庁「控除証明書等の電子的交付について」(平成31年1月以後の電子的控除証明書等の交付、令和2年10月から始まったマイナポータル連携、書面が必要な場合のQRコード付証明書等作成システムの利用)
- 国税庁「保険料に係る電子控除証明書の発行主体一覧」(令和7年10月時点で生命保険会社36社〈全41社〉・損害保険会社14社〈全19社〉が対応済み。生命保険料控除対象契約に係る発行対応割合は令和7年10月現在で約98.5%〈契約件数ベース〉)
- 国税庁「QRコード付証明書等作成システムについて」(電子的控除証明書等からQRコード付控除証明書等をパソコンで作成できること、スマートフォンは推奨環境外であること)
- 公益財団法人 生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる『生命保険料控除』」(証明書を紛失した場合は生命保険会社に連絡して再発行を受けられること、電子的控除証明書の2通りの使い方=データのまま送信する方法と、QRコード付証明書等作成システムでPDFに変換して印刷する方法)
※本記事は2026年9月時点の一般的な情報提供です。控除証明書の発送時期や再発行の受付期間、電子交付への対応状況は保険会社ごとに異なります。年末調整の進め方や提出期限は勤務先の定めにもよりますので、具体的な取扱いは勤務先の担当部署や所轄の税務署にご確認ください。補償内容やご加入の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。
控除証明書が何通届いたか数えてみると、自分がいま何の保険に入っているかが見えてきます。増えすぎていないか、逆に必要なものが抜けていないか。証明書を並べるだけでも分かることがあります。ご加入の中身が分からなくなっている、という状態のままでも構いません。売り込みより先に、いまの保険を一つずつ一緒に見直すところから始めます。