相続税の納期限は10か月です|自社株は、売れないのに課税されます

法人・事業の保険

自社株は、会社が順調なほど評価が上がります。ところが売って現金にできる株ではありません。相続の場面では「価値はあるのに換金できない財産」に対して、期限つきで税金がかかります。事業承継でいちばん詰まるのは、たいていここです。

期限は、亡くなってから10か月

相続税の申告と納税の期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。国税庁はこの日を、通常は被相続人の死亡の日としています。

10か月というと長そうに聞こえますが、実際には葬儀、相続人の確定、財産の洗い出し、自社株の評価、遺産分割の話し合いが入ります。金額が固まるのが期限の直前、ということも珍しくありません。

納税の期限も、申告と同じ日です。遅れれば延滞税がかかります。分割で納める延納や、財産そのもので納める物納という制度もありますが、これらを使うには申告書の提出期限までに申請書などを提出して許可を受ける必要があります。あとから「やっぱり現金が足りませんでした」では間に合いません。

なぜ自社株だと苦しくなるのか

上場している株なら、売って納税資金にできます。自社株はそうはいきません。買い手が限られますし、そもそも後継者に経営権を残すために、手放したくない財産です。

自社株が納税で厄介になる理由
  • 換金しにくい売却先が限られ、売れば経営権も動く
  • 評価が読みにくい業績や含み益によって評価額が動く
  • 分けにくい分散させると議決権がばらけ、あとで意思決定が止まる

結果として後継者は、「株はもらったが、納税のための現金は自分で用意しなければならない」という状態に置かれます。ここで会社から資金を出そうとすると、また別の税務の論点が出てきます。

先に確かめておくと、話が具体的になります

承継の話をする前に手元に置きたい4つ
  • いまの自社株の評価額(顧問税理士に概算を出してもらう)
  • 相続人が誰で、株を誰にどれだけ渡すつもりか
  • 後継者が自分で用意できる現金はいくらか
  • 会社の借入に付いている個人保証の残高

この4つが揃うと、「不足するのはいくらで、いつまでに必要か」が数字になります。そこではじめて、備え方の選択肢を比べられるようになります。逆にこれが無いまま商品の話から入ると、たいてい空回りします。

納税資金という観点では、生命保険は亡くなった時点で現金が入るという点で、10か月という期限との相性がよい方法のひとつです。ただし、受取人を誰にするかで課税のされ方が変わりますし、会社が受け取る場合と個人が受け取る場合ではまったく別の話になります。ここは必ず税理士と一緒に設計してください。

また、事業承継そのものを支える仕組みとして、経営承継円滑化法にもとづく金融支援や税制上の措置も用意されています。使えるかどうかは要件次第なので、早い段階で中小企業庁の案内と専門家にあたるのが近道です。

まとめ

相続税の申告と納税は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内。延納・物納もその期限までに申請が要ります。自社株は評価が高くても換金しにくいので、後継者は現金の手当てを別に考えなければなりません。まずは株の評価額と、後継者が用意できる現金を並べて、差額を出すところからです。

出典

※本記事は2026年9月時点の一般的な情報提供です。相続税の計算、自社株の評価、各種特例の適用可否は個別の事情によって大きく変わります。実際の判断は必ず税理士等の専門家にご相談ください。補償内容やご加入の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。

「息子に継がせるつもりだが、税金の話まではまだ」という段階でご相談いただくことが多いです。評価額や特例の判断は税理士さんにお願いするとして、必要になる現金をどう用意しておくかの部分は、私たちが一緒に数字にします。

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