地震保険の割引は、書類を出した日からしか効きません|4つの割引と、重ねられないという決まり
火災保険の更新案内が届いて、地震保険の保険料のところで手が止まる。そんな方は少なくありません。この保険料、住まいの耐震性能によっては10%から50%安くなります。ただし、こちらから書類を出さないかぎり割引は付きません。しかも、あとから気づいても、さかのぼっては効きません。
割引は4つ。ただし重ねられません
地震保険の割引は、住まいの免震・耐震の性能に応じて4種類が用意されています。日本損害保険協会は、このうちいずれかの要件に当てはまれば保険料に10%〜50%の割引が適用されると説明しています。
| 割引の名前 | 割引率 | 対象になる住まい |
|---|---|---|
| 免震建築物割引 | 50% | 品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)にもとづく免震建築物 |
| 耐震等級割引 | 等級3:50% 等級2:30% 等級1:10% | 品確法などに定められた耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を持つ建物 |
| 耐震診断割引 | 10% | 地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、1981年6月1日施行の耐震基準を満たす建物 |
| 建築年割引 | 10% | 1981年(昭和56年)6月1日以降に新築された建物 |
気をつけたいのは、重複して適用を受けることはできないという点です。耐震等級3の家だからといって、50%に建築年割引の10%を足して60%にはなりません。当てはまるものが複数あれば、いちばん有利な1つが使われます。
割引の対象は、居住用の建物と、その中の家財です。賃貸にお住まいで家財の地震保険だけに入っている場合も、建物が条件に当てはまれば割引の対象になります。
条件がいちばんやさしいのは「建築年割引」
4つのうち、いちばん間口が広いのが建築年割引です。条件は「1981年6月1日以降に新築された建物であること」。この日は、いわゆる新耐震基準が施行された日にあたります。耐震等級のように、住宅性能評価を受けていることまでは求められません。
必要な確認資料も、特別な書類ではありません。日本損害保険協会が挙げているのは次のようなものです。
- 建物登記簿謄本(写)
- 建物登記済権利証(写)
- 建築確認書(写)
- 宅地建物取引業者が交付する重要事項説明書(写)
家を買ったときにまとめて受け取った書類の束に入っていることが多いものばかりです。新築の年月が分かればよいので、まずは手元を探してみてください。
では、1981年6月より前に建った家は対象外かというと、そうとも限りません。地方公共団体などの耐震診断や耐震改修を受けて、その結果この耐震基準を満たしていると確認できれば、耐震診断割引で10%が適用されます。古い家にお住まいの方ほど、確かめる価値があります。
地震保険は、政府が再保険を引き受ける官民共同の保険です。保険料率は損害保険料率算出機構が算出した「基準料率」を各社が使っており、同機構は「現在、全ての会員保険会社が基準料率を使用しています」と公表しています。割引の種類・割引率・適用条件も共通です。
つまり、割引のために保険会社を乗り換える必要はありません。いま契約している会社に申し出れば足ります。
効きはじめるのは、書類を出した日から
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。日本損害保険協会は「これらの割引は確認資料の提出があった日以降の保険期間について適用されます」と説明しています。つまり、条件に当てはまっていても、書類を出すまでの分はそのままです。
地震保険は5年契約も選べます。長い契約の途中で気づいた場合、残りの期間について手続きができないか、契約している保険会社か代理店に確認してみてください。思い当たったら早いほうがいい、というのはこういう理由です。
保険料を軽くする、もう一つの方法
耐震性能の割引とは別に、契約期間の取り方でも保険料は変わります。地震保険の保険期間は1年(短期)と2年〜5年(長期)があり、長期契約の保険料は「長期係数」を掛けて計算します。
| 保険期間 | 長期係数 | 1年分×年数と比べると |
|---|---|---|
| 2年 | 1.90 | 約5%少ない |
| 3年 | 2.85 | 約5%少ない |
| 4年 | 3.75 | 約6%少ない |
| 5年 | 4.70 | 約6%少ない |
5年契約なら1年分の4.70倍です。1年ずつ5回払えば5.00倍ですから、差はおよそ6%(保険料率が途中で変わらなかったと仮定した単純な比較です)。ただし、まとめて払う分だけ最初の出費は大きくなります。家計の事情と見比べて決めるところです。
証券のどこを見ればいいか
お手元の保険証券で、地震保険の保険料が書かれている欄の近くを見てください。割引が適用されていれば、「建築年割引」「耐震等級割引」といった表示が入っています。呼び方や書かれる場所は保険会社によって違います。
何も書かれていなければ、割引が付いていない可能性があります。心当たりのある方は、契約している保険会社か代理店に「割引の対象になりませんか」と聞いてみてください。確認資料さえそろえば、手続き自体は難しいものではありません。
- 地震保険の割引は4種類。免震建築物50%、耐震等級は等級に応じて10〜50%、耐震診断10%、建築年10%
- 重複適用はできない。当てはまるものが複数あれば、有利な1つだけ
- 建築年割引は1981年6月1日以降の新築が対象。登記簿謄本や重要事項説明書の写しで確認できる
- 割引率はどの保険会社でも共通。乗り換えではなく、いまの契約で申し出る
- 効くのは確認資料を出した日から。さかのぼっての適用はない
出典
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A すまいの保険 問63 地震保険の保険料の割引制度について教えてください。」(4つの割引・割引率・確認資料・重複適用不可・提出日以降に適用)
- 財務省「地震保険制度の概要」(割引制度の割引率・対象・重複不可、長期契約の長期係数、保険期間)
- 損害保険料率算出機構「地震保険基準料率」(基準料率を全ての会員保険会社が使用している旨)
※本記事は2026年9月時点の一般的な情報提供です。割引率・長期係数・適用条件は制度の改定によって変わることがあります。割引の適用可否や必要な確認資料は契約の時期・保険会社によって取り扱いが異なる場合がありますので、補償内容やご加入の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。
「証券を見たけれど、割引が付いているのかどうか分からない」というご相談はよくいただきます。証券のどこを見ればいいか、確認資料は何を探せばいいか、お手元の1枚を一緒に見ながら確かめるところからで大丈夫です。売り込みより先に、いまの保険を一つずつ一緒に見直すところから始めます。