PL法の製造業者等とは|作っていなくても責任を負う3つの立場

法人・事業の保険

「うちは作っていない。仕入れて売っているだけ」。製造物責任と聞くと、そう考える会社は多いと思います。ところが法律の書き方は、作った会社だけを名指ししていません。自社の名前をどう出しているかで、立場が変わります。

「過失」ではなく「欠陥」で問われる

ふつうの損害賠償は民法709条が土台で、故意又は過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者が責任を負う形です。被害者の側が、相手の落ち度を示す必要があります。

製造物責任法(PL法)の第3条は、そこを組み替えています。製造業者等は、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体または財産を侵害したときに賠償責任を負う、という書き方です。落ち度があったかどうかではなく、その製品に欠陥があったかどうかが争点になります。

欠陥の意味も同法2条2項に定義があり、製品の特性や通常予見される使用形態などを考慮して通常有すべき安全性を欠いていることとされています。

作っていなくても「製造業者等」になります

ここが本題です。PL法2条3項は「製造業者等」を3つに分けています。

製造業者等にあたる3つの立場(PL法2条3項)
  • その製造物を業として製造・加工・輸入した者
  • 自ら製造業者として氏名や商号、商標などを表示した者、または製造業者と誤認させるような表示をした者
  • 製造・加工・輸入・販売の形態などから見て、実質的な製造業者と認められる表示をした者

2つ目が、いわゆるプライベートブランドやOEMです。他社に作ってもらった商品に自社の名前やロゴを載せて売っていれば、作っていなくても製造業者等として扱われます。輸入して売っている場合も、1つ目に該当します。海外のメーカーを相手に訴えるのは現実的でないため、国内の輸入業者が矢面に立つ設計です。

対象になるもの、ならないもの

PL法の「製造物」は、2条1項で製造又は加工された動産と定義されています。手を加えていない農産物や、不動産、サービスそのものは外れます。

もう一つ、3条にはただし書きがあります。損害がその製造物についてのみ生じたときは対象外、というものです。売った機械が壊れただけならPL法の出番ではなく、契約上の責任として扱われます。PL法が動くのは、その製品のせいで人がケガをした、他の財産が壊れたという場面です。

免責は4条に2つだけ置かれています。引き渡した時点の科学や技術の知見では欠陥を認識できなかったこと(開発危険の抗弁)、そして部品や原材料として使われた場合に、欠陥がもっぱら完成品メーカーの設計指示によって生じ、そのことに過失がなかったこと。いずれも証明するのは製造業者等の側です。

時効は「3年・5年・10年」

5条の消滅時効も、頭に入れておくと安心です。被害者が損害と賠償義務者を知った時から3年、そして製造業者等が製品を引き渡した時から10年で消滅します。ただし人の生命または身体を侵害した場合は、3年ではなく5年です。体に蓄積して健康を害する物質による損害や、潜伏期間を経て症状が出る損害については、10年の起算点が損害の生じた時になります。

引き渡してから10年、体に関わるものならさらに長く責任が残る。この時間の長さが、生産物賠償責任保険(PL保険)のような備えを考える理由になります。

まとめ
  • PL法は過失ではなく「欠陥」で責任を問う
  • 製造した会社だけでなく、輸入した会社、自社名を表示した会社も「製造業者等」
  • 対象は製造・加工された動産。製品そのものだけの損害は対象外
  • 免責は開発危険の抗弁など2つだけで、証明するのは事業者側
  • 時効は知った時から3年(生命・身体は5年)、引渡しから10年

出典

※本記事は2026年9月1日時点の一般的な情報提供です。実際にPL法の適用があるかどうかは個別の事情によって判断が分かれます。個別の法律判断については弁護士等の専門家にご相談ください。補償内容やご加入の判断は、各保険会社の契約概要・重要事項説明書等を必ずご確認ください。

「うちの扱っている商品は、どの立場になるんだろう」。自社ブランドを貼っているか、輸入しているか、そこだけで話が変わります。取扱商品と仕入れの形をうかがえれば、どこに責任が残るかを一緒に整理できます。売り込みの前に、まず現状の確認から。

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